2025年11月の夜空は、天体観測ファンにとって見逃せない現象が目白押しです。今年最大の満月であるスーパームーンをはじめ、おうし座流星群、しし座流星群、そして肉眼でも観測可能なレモン彗星など、様々な天文ショーが私たちを待っています。
このガイドでは、11月に観測できる主な天文現象について、観測のポイントや撮影方法を詳しく解説します。初心者の方でも楽しめる内容となっていますので、ぜひ参考にして星空観測を楽しんでください。
| 日付 | 天文現象 | 観測のポイント |
|---|---|---|
| 11月2日 | 月が土星に接近、十三夜 | 宵の南東の空で月と土星の共演を楽しめる |
| 11月5日 | 満月(2025年で地球に最も近い満月)、おうし座南流星群が極大 | 今年最大の満月、流星群は月明かりの影響大 |
| 11月8日 | レモン彗星が近日点通過 | 夕方の西空で彗星観測のチャンス |
| 11月10日 | 月が木星に接近 | 夜遅くに東の空で月と木星の共演 |
| 11月12日 | おうし座北流星群が極大 | 月の条件が比較的良好、火球に期待 |
| 11月18日 | しし座流星群が極大 | 月の条件が良く、暗い夜空で観測可能 |
| 11月20日 | 新月 | 星観測に最適な暗い夜空 |
| 11月21日 | 天王星が衝 | 一年で最も観測しやすい時期 |
| 11月24日 | 土星の環が準消失 | 約15年に一度の珍しい現象 |
| 11月27日 | 月面Xが見られる | 月のクレーター地形によるX字模様 |
11月5日には、2025年で地球に最も近い位置で満月を迎える「スーパームーン」が観測できます。この日の満月は、4月13日の満月(今年最小)と比べて視直径が約14%大きく、面積では約29%大きくなります。

画像:国立天文台|2025年最小の満月(4月13日)と最大の満月(11月5日)の比較
月の出直後に観測するのがおすすめです。地平線近くでは月の錯視により、実際よりも大きく見える効果があります。また、建物や風景と組み合わせて撮影すると、より印象的な写真が撮れるでしょう。
スーパームーンは天文用語ではなく、占星術に由来する呼称ですが、一般にも広く認知されているため、この機会に月の観測を楽しんでみてはいかがでしょうか。
11月はいくつかの流星群が活動します。特に注目すべきはおうし座流星群(南群と北群)としし座流星群です。
出典:DumitruS|流星群図
おうし座南流星群は11月5日頃、おうし座北流星群は11月12日頃に極大を迎えます。流星数は多くありませんが、明るい火球が出現することで知られており、2025年は特に火球の出現が増える年と予想されています。
放射点を中心に空全体を広く見渡すようにしましょう。目が暗さに慣れるまで15分以上観察を続けることが大切です。レジャーシートを敷いて寝転んだり、リクライニングチェアを使うと楽な姿勢で観測できます。
11月18日未明に極大を迎えるしし座流星群は、速く明るい流星が特徴です。今年は月の条件が良く、暗い夜空での観測が可能です。1時間に5~15個程度の出現が期待できます。
C/2025 A6(レモン)彗星は、11月8日に近日点を通過します。明るさは4~5等級と予想され、双眼鏡で容易に観察できるでしょう。条件が良ければ肉眼でも見える可能性があります。
レモン彗星は夕方の西空で観測できます。11月上旬には20度前後の高度がありますが、中旬には10度以下になるため、西南西の低空が見渡せる場所で観測するのがおすすめです。
彗星は恒星のような点ではなく、ぼんやりと広がった像として見えます。淡いので、薄雲や空の明るさの影響を受けやすいため、根気よく探しましょう。へびつかい座の2等星サビクを目印にすると見つけやすくなります。

出典:starwalk|レモン彗星の軌道と見える位置
宵の南東から南の空に見える土星は、11月24日に「環の準消失」という珍しい現象を迎えます。土星の環がほぼ真横から見えるため、環がほとんど見えなくなる状態です。このような現象は約15年に一度しか起こりませんので、天体望遠鏡で観察する絶好のチャンスです。
真夜中の東の空に昇ってくる木星は、-2.4等という明るさで輝いています。ふたご座に位置しており、10日には月と接近する様子も観測できます。小型の望遠鏡でも縞模様やガリレオ衛星を観察できるでしょう。
11月21日に衝を迎える天王星は、一年で最も観測しやすい時期です。5.6等の明るさで、おうし座に位置しています。非常に暗い空では肉眼でも見える可能性がありますが、双眼鏡や望遠鏡を使うと確実です。青緑色の円盤像が特徴的です。

出典:nikon|11月中旬21時ごろの東の空の様子(場所の設定は東京)。円は拡大イメージ(視野7度)で、プレアデス星団と天王星(10日ごとの位置)の位置関係を示す
市街地の光害を避け、空が暗い場所を選びましょう。なるべく視界が開け、低空まで見渡せる場所が理想的です。安全面にも配慮し、事前に下見をしておくことをおすすめします。
11月は夜間の冷え込みが厳しくなる時期です。防寒対策は必須です。以下のものを準備しましょう:
月明かりの影響が少ない時期を選ぶと、より多くの星や淡い天体を見ることができます。新月前後の期間や、月が沈んだ後の時間帯がおすすめです。11月では20日の新月前後が特に星観測に適しています。
天体写真を撮影する際の基本設定は以下の通りです:
流星群を撮影するには、広角レンズを使い、できるだけ広い範囲を写すようにします。三脚を使用し、30秒程度の露出で連写するのが一般的です。レンズに結露しないよう、防露ヒーターの使用がおすすめです。
月と惑星が接近する現象を撮影する場合は、中望遠レンズ(100-300mm程度)が適しています。月明かりが強い場合は露出に注意し、月の表面の模様が潰れないように調整しましょう。
天体観測や撮影には、以下のような機材が役立ちます:


出典:天文リフレクションズ編集部|SV555と天体用冷却CMOSカメラSV405CC 、デュアルナローバンドフィルターSV220、SWAT-350ポータブル赤道儀で撮影
2025年11月は、スーパームーンを筆頭に、流星群、彗星、惑星の現象など、天体観測の見所がたくさんあります。特に土星の環がほとんど見えなくなる「環の準消失」は、15年に一度の珍しい現象です。
観測には十分な防寒対策をし、安全に配慮して楽しんでください。スマートフォンのアプリを活用すると、天体の位置確認や観測計画の立案に役立ちます。
このガイドが、11月の星空を楽しむ手助けとなれば幸いです。晴れた夜空の下、素敵な天体ショーをお楽しみください。