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2026年3月3日、ひな祭りの夜に見られる特別な「皆既月食」の完全ガイド:月食のしくみから観測撮影、楽しみ方まで

出典:倉敷科学センター

2026年3月3日 皆既月食 重要情報カード

項目 内容
日付 2026年3月3日(火)
現象 皆既月食 全国で観測可能
部分食の開始 18時50分頃
皆既食の開始 20時04分頃
食の最大 20時34分頃
皆既食の終了 21時03分頃
部分食の終了 22時17分頃
皆既継続時間 約58分間
次回日本の皆既月食 2029年1月1日

東京の星空 

はじめに:2026年3月3日の皆既月食

2026年3月3日(火)の宵、日本全国で皆既月食が観測できます。ひな祭りの夜に起こることから、「ひな祭り月食」とも呼ばれるこの天体ショーは、18時50分頃から22時20分頃までと、夜ふかしせずに全過程を楽しめる好条件な時間帯です。

2026年3月皆既月食の予想図

2026年3月皆既月食の予想図(国立天文台)

前回の皆既月食は2025年9月8日で、次に日本全国で見られるのは2029年1月1日です。約半年ぶり、そして次の機会まで約3年待つ貴重なチャンスとなります。

月食とは?部分月食・皆既月食の違い

月食は、太陽-地球-月が一直線に並び、地球の影に月が入る現象です。必ず満月の時に起こりますが、月の公転軌道が傾いているため、毎回月食になるわけではありません。

月食のしくみ

月食のしくみ(国立天文台)

月食の種類

地球の影には「本影(太陽光がほぼさえぎられた濃い影)」と「半影(本影を取り囲む薄い影)」の2種類があり、月がどちらの影に入り込むかによって、月食の呼び方が変わります。

  • 半影月食:月が地球の薄い「半影」に入る状態。月がわずかに暗くなるが、肉眼ではわかりにくい。
  • 部分月食:月の一部が地球の濃い「本影」に入る状態。
  • 皆既月食:月全体が地球の本影に入る状態。月は真っ暗にはならず、赤銅色(しゃくどういろ)に輝く。
月食の種類の説明図

地球の影に対する月の動き(AstroArts)

月食の種類の説明図

月食の種類(部分月食・皆既月食・半影月食)

2026年3月3日月食の詳細データ

「月食はいつ見えるか?」

月食の進行(東京基準)

  • 18:50頃 部分食の開始(月の高度:約15度・東の低空)
  • 20:04頃 皆既食の開始(月の高度:約30度)
  • 20:34頃 食の最大(月の高度:約35度)
  • 21:03頃 皆既食の終了
  • 22:17頃 部分食の終了(月の高度:約52度・南東の空)

全国主要都市での月の高度と空の明るさ

現象 時刻 札幌 仙台 東京 大阪 福岡 那覇
部分食の開始 18:50 16度 16度 15度 12度 8度 5度
皆既食の開始 20:05 29度 30度 30度 27度 23度 21度
食の最大 20:34 33度 35度 35度 32度 28度 27度
皆既食の終了 21:03 38度 40度 40度 38度 34度 34度
部分食の終了 22:17 47度 51度 52度 50度 48度 49度

重要なポイント:月食は、月が見える場所であれば日本全国どこでも同じ時刻に起こります(日食とは異なります)。ただし、月の高度や空の明るさ(薄明の影響)は地域によって異なります。特に西日本では部分食の始め頃、空がまだ明るい状態での観察となります。

月食の色の秘密:なぜ赤くなる?

皆既月食中、月は「赤銅色」と呼ばれる赤黒い色に見えます。これは地球の大気がプリズムのような役割を果たしているためです。

赤くなる理由

  1. 太陽光が地球の大気を通過する際、波長の短い青い光は大気中の分子に散乱されやすい
  2. 波長の長い赤い光は散乱されにくく、地球の大気をかすめて月まで届く
  3. この赤い光が月面を照らすため、月は赤く見える
地球大気を通った光が月を照らす図

地球大気を通った赤い光が月面を照らす仕組み(国立天文台)

月食ごとに異なる色と明るさ

月の色や明るさは、地球の大気中の塵(ちり)や水蒸気の量によって変化します:

地球大気を通った光が月を照らす図

色の見本(国立天文台)

  • 大気が澄んでいる時:明るいオレンジ色
  • 火山噴火後など塵が多い時:暗い茶色や赤色
  • 前回(2025年9月8日)の月食:かなり暗かった

地球大気を通った光が月を照らす図

月の色彩(NASA)

特別な現象:「ターコイズフリンジ」

皆既月食の前後、欠け際に青みがかった部分が見えることがあります。これは地球の成層圏(オゾン層)で赤い光が吸収され、青い光の一部が月に届くためです。撮影するとよりはっきり確認できます。

地球大気を通った光が月を照らす図

青っぽい部分は「ターコイズフリンジ」と呼ばれる 撮影:豊田敏 様(AstroArts)

観測ガイド:肉眼・双眼鏡・望遠鏡で楽しむ

「月食はどこで見られるのか?」

「月のある方向」! 空を見上げるだけで、月の色や形の変化を楽しめます。特に注目したいポイント:月食の間、月が地平線より上にある限り、日本中どこでも、いや世界中どこでも同じ月食を見ることができます。見ているのは月ですから、天文台のような特別な場所に行く必要はありません。ご自宅からでも見られるのです!

基本の心得:安全第一

  • 車の往来や足元に注意
  • 子どもだけでの観察や、暗い場所への少人数での行動は避ける
  • 私有地への立ち入り禁止、マナーを守る
  • 防寒対策を十分に(3月の夜は冷えます)

「月食を見るための道具は?」

肉眼で楽しむ

特別な機材は必要ありません! 空を見上げるだけで、月の色や形の変化を楽しめます。特に注目したいポイント:

  • 欠けていく月の形の変化
  • 皆既中の赤銅色の濃淡
  • 月食に伴う周囲の星の見え方の変化(月明かりが弱まるため暗い星が見えやすくなる)

双眼鏡でより詳細に

双眼鏡を使うと、月面のクレーターなどの地形と影の境界の動きをより詳しく観察できます。皆既中の月の色の微妙なグラデーションも楽しめ、普段は月明かりで見えない暗い星々の観察も可能になります。

おすすめ観測機材:双眼鏡

SV202 EDレンズ双眼鏡(8×32、10×42、8×42モデル)

ED超低分散ガラスレンズを使用しており、色収差を大幅に低減し、より鮮明でコントラストの高い画像を提供します。月食観察時にも、月の赤銅色の微妙な色合いや、月食中の暗い星々をクリアに観察できます。

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  • 月のクレーターなどの地形と影の境界の動きを観察
  • 皆既中の月の色のグラデーションを楽しむ
  • 月食中に現れる暗い星々の観察(冬の天の川も条件が良ければ)

地球大気を通った光が月を照らす図

10x50mm双眼鏡 スマホで撮影:SunShadow 様(Zhihu)

天体望遠鏡で本格観測

おすすめ観測機材:屈折望遠鏡

SV503 102ED 屈折望遠鏡(口径102mm、F7)

初心者にも最適な天体望遠鏡で、EDレンズ(S FPL-51)1枚を使用し、色収差を大幅に補正。解像度やコントラストの高い星像で、月面の詳細な地形や、皆既月食中の赤銅色の微妙な色合いの変化を鮮明に観察できます。

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SV503 70mm ED望遠鏡(アップグレード版)

70mm口径とF6.78の口径比で、フラットフィールド光学系とEDガラスにより色収差を低減。軽量で扱いやすく、月食観察に適しています。鮮明なディテールで月の欠け際の様子や色の変化を捉えられます。

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  • 月面地形の詳細な観察
  • 影の境界のぼかし(地球の大気の影響)を観察
  • 上級者向け:19時15~30分頃、しし座の5.9等星が月に隠される「恒星食」を観測可能

地球大気を通った光が月を照らす図

F9光学システム+キャノン EOS Kiss X9+GPガイドパック赤道儀(AstroArts)

便利なアプリ

事前準備や当日のナビゲーションに:

  • 星空ナビ(iOS/Android):月の位置や欠け方をシミュレーション
  • iステラ(iPhone/iPod touch):星座や星の名前確認に便利

撮影ガイド:スマホから本格機材まで

基本原則:露出の調整

月食の撮影で最も重要なのは、月の明るさに合わせた露出調整です:

  • 欠けが少なく月が明るい時:露出を短く(光量少なめ)
  • 大きく欠けている時・皆既中:露出を長く(光量多め)

スマートフォンで撮る

  • 手軽な記念撮影に最適:月の色や明るさの変化は十分写ります
  • コツ:夜景モードを使用、三脚や安定した台に固定
  • 望遠鏡と組み合わせ:観望会などで、望遠鏡のアイピースにスマホレンズを当てて拡大撮影できる場合も

コンパクトカメラの望遠(200mm相当)

コンパクトカメラの望遠(200mm相当)(姫路科学館)

ビデオカメラのズーム(500mm相当)

ビデオカメラのズーム(500mm相当)(姫路科学館)

デジタル一眼レフ・ミラーレスカメラ

おすすめ撮影機材:天体写真用レンズ・アストログラフ

SV535 APO望遠レンズ(F2.8、焦点距離105mm)

軽量(約482g)で携帯性に優れ、F2.8の明るさとAPO光学系により、月食の連続写真や周囲の星々を含めた広視野の星野撮影に最適です。フルフレーム対応で、皆既月食中の赤い月と星空の共演を美しく捉えられます。

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SV545 アストログラフ(F4.5、焦点距離203mm)

ペッツバールAPO光学構造と内蔵フラットナーにより、月全体のシャープな画像と周辺部まで歪みのない完璧なフレームを実現。天体写真カメラ、ミラーレスカメラ、一眼レフカメラと組み合わせて、月食の高解像度撮影に適しています。

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SV555 アストログラフ

ディープスカイ撮影用に設計された写真用天体望遠鏡。F4.5の明るさと44mmフルサイズレンズにより、月食の詳細な経過と周囲の星野を広く鮮明に記録できます。EAFマウントキット対応で、自動焦点合わせも可能です。

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  • 望遠レンズ(200mm以上推奨)と頑丈な三脚が必須
  • 設定例
    • 部分食中:ISO 200-400, F8, 1/250-1/1000秒
    • 皆既食中:ISO 800-1600, F5.6, 1-5秒
  • 赤道儀を使用すれば、長時間露光もぶれずに撮影可能

おすすめ撮影機材:天文カメラ

SV705C プラネタリーカメラ(カラーCMOS)

Sony IMX585センサー搭載。8.30メガピクセルの高解像度と超低読み出しノイズで、月食の経過を鮮明に動画や連続写真として記録できます。Amp Glowがなく、高品質な暗い画像が得られるため、皆既月食中の暗い赤銅色の月も美しく捉えられます。

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SC571CC カラー冷却天体写真カメラ

2600万画素IMX571 BSIセンサー搭載のAPS-C天体写真カメラ。高い量子効率と二段階式TEC冷却設計により、長時間露光時のノイズを低減。月食の長時間にわたる色の変化を、ノイズの少ない高画質で記録したい上級者におすすめです。

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月食の連続写真例

2025年9月8日の月食の経過と富士山の連続写真(AstroArts)

月食の連続写真例

創意的な撮影アイデア

  1. 連続写真・多重露出
    • 10-15分間隔で撮影し、後で合成することで月食の経過を一枚に収める
    • 前景(建物、山、木など)と組み合わせるとよりドラマチックに
  2. 地球の影の表現
    • シミュレーションで調べた位置に合わせて月の画像を合成すると、地球の影を視覚化できる

観望会・ライブ中継情報

全国の観望会・ライブ中継施設(主要な施設抜粋)

都道府県 施設名 開催日時 中継・備考
北海道 なよろ市立天文台 18:30-22:30 YouTube中継
栃木県 コジマ子どもサイエンスパーク 18:30-21:00 YouTube中継
埼玉県 川口市立科学館 19:45-21:00 中継ページ
愛知県 名古屋市科学館 19:15-21:15 YouTube中継
岡山県 倉敷科学センター 19:00-20:30 YouTube中継

※完全なリストは日本公開天文台協会のページで確認できます。

主要ライブ中継リンク

月食をもっと楽しむコツ

1. 月食中の星空観察

皆既月食中は月明かりの影響が最小限になるため、普段は見えにくい暗い星や天体が観察しやすくなります:

  • 3-4等星などの暗い星々の見え方の変化に注目
  • 条件が良ければ、冬の天の川も観察可能
  • メシエ天体(明るい星雲・星団)の観察チャンス

2. 色の変化を記録する

ダンジョンスケール:皆既月食の暗さを以下の尺度で記録してみよう

地球大気を通った光が月を照らす図

色の見本(国立天文台)

スケール 説明
0 きわめて暗い。肉眼でほとんど見えない
1 暗い。灰色・褐色。表面模様の識別が困難
2 暗赤色・錆色。本影付近かなり暗い
3 レンガ色。本影縁は明灰色・黄色
4 明るい。赤銅色・オレンジ色。本影・半影の境界域が青みがかる

3. 「月食ノート」を作成

  • 観測場所、天候、観測者
  • 月の色の変化(時間ごとに)
  • 見えた星の数や天の川の有無
  • 撮影した写真の記録
  • 感じたことや気づいたこと

今後の月食予定(2026-2032年)

日付 種類 部分食時間 皆既食時間 備考
2026年3月3日 皆既 207分 58分 今回の月食
2028年7月7日 部分 141分 -- 東北・北海道は月没帯食
2029年1月1日 皆既 209分 71分 年明けすぐに
2029年12月21日 皆既 213分 54分 部分月食の月没帯食
2032年4月25-26日 皆既 211分 66分 -

まとめ

2026年3月3日の「ひな祭り月食」は、観察しやすい時間帯に起こる貴重な天体ショーです。特別な機材がなくても、空を見上げるだけでその神秘的な美しさを楽しむことができます。

事前の準備

  1. 観測場所の下調べ(東の空が開けた場所)
  2. 防寒対策の準備
  3. 撮影する場合は機材の確認と練習
  4. 天気予報のチェック(曇天の場合はライブ中継の確認)

当日は、家族や友人と一緒に、この宇宙の壮大な現象を楽しみましょう。月が地球の影にゆっくりと入り、赤銅色に輝く様子は、きっと忘れられない思い出になるはずです。

最後に、月食観察の基本は「安全第一」です。周囲への配慮を忘れず、楽しい観測会にしましょう。

🌕 天候に恵まれ、素晴らしい月食観測となりますように! 🌕

参考にした情報源

  1. AstroArts「2026年3月3日の宵に皆既月食が起こります」
    https://www.astroarts.co.jp/special/20260303lunar_eclipse/index-j.shtml
  2. 国立天文台「ほしぞら情報2026年3月」
    https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/
  3. ケンコー・トキナー「2026年は惑星を見よう!」
    https://www.kenko-tokina.co.jp/special/celestial/cat1174/20260103.html
  4. 倉敷科学センター「2026年3月3日 皆既月食観測ガイド」
    https://kurakagaku.jp/lunarec/
  5. 日本公開天文台協会「2026年3月3日皆既月食:観望会&中継まとめ」
    https://www.koukaitenmondai.jp/campaign/lunar-eclipse2026.html
  6. 姫路科学館「月食を見よう」
    https://www.city.himeji.lg.jp/atom/planet/stargazing/lunar_ecripse/index.html

月食関連便利サイト

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